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ゲームで災害に備えを 避難所運営や避難行動、楽しく学ぶ
- 2019/3/5 11:12
防災の知識や災害時の判断力をカードや地図を使って養う「防災ゲーム」が広がっている。自治体やNPOが相次いで開発。防災を楽しく学べるようにして幅広い年齢層に参加してもらうことが狙いだ。関係者は「子供から高齢者まで参加してもらい、防災教育の発展に寄与できれば」と期待している。
「あなたは30代の妊婦です。どんな備えが必要ですか」――。仙台市内で3月2日、NPO法人が開発したボードゲーム「仙台発そなえゲーム」の体験会が開かれ、約50人の児童らが参加した。
参加者らはカードを引いて「主婦」や「高齢者」など配役を決める。「毛布200枚」「避難経路の確認」など災害時に求められる防災用品や行動が書き込まれたカードを選び、ボード上の地図に描かれた施設や自宅に配置していく。配役に応じた適切な備えを導き出し、災害に強い街づくりを考えていく。
小学2年の及川陽さん(8)は20代男性になりきった。「若いから」と「見守りボランティア」のカードを選んで住宅街に配置。一緒にゲームに参加した人たちもカードを順番に置いていき、「みんなが助け合う街ができた」と笑顔を見せた。
慶応大の吉川肇子教授(組織心理学)らが開発したカードゲーム「クロスロード」は、「未明の震災直後、家族は無事だが心細そうにしている。朝、出勤する?」などと書かれた質問カードを参加者が引いていき、YESかNOのカードで意思を表明する。選択肢を二者択一にすることで議論を促し、防災意識の向上につなげる。
一般社団法人「防災教育普及協会」(東京・千代田)によると、市民向け防災ゲームは、2011年3月の東日本大震災をきっかけに自治体や消防、NPOなどで開発が盛んになった。ゲーム形式だと参加者が集まりやすく、広く防災を呼びかけることができる。同協会が把握しているだけでもゲームは50種類以上あり、大規模地震のほか豪雨や津波を想定したものもあるという。
静岡県が開発した「避難所運営ゲームHUG」は一般住民ではなく、避難所を運営する職員の立場で考えるカードゲームだ。埼玉県所沢市では2月、社会福祉施設の職員らが同ゲームの「社会福祉施設バージョン」に取り組んだ。福祉避難所の運営を想定し「高齢者が転倒してけがをした」「看護師が不在にしている」などと書かれたカードを前に、どう対処すべきかを議論した。
同市危機管理課は「福祉避難所では、目の見えない人や歩けない人など個人に応じてすべき対応が違う。実際の福祉避難所を想定することで落ち着いた運営につながる」と期待する。
地震防災アドバイザーの倉野康彦さんは「ゲームだと災害時を意識した臨場感の中で学べる。すべき事を素早く取捨選択する能力を養える」と指摘。「各自治体が互いに参考にしながらゲームを作る流れがある。地域の事情に特化したゲームなど様々な種類のものが増えれば効果も高まるはずだ」と助言する。
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